
本作品の概要
1.ストーリー
とある法廷
裁判官「それでは陳実書にあった証拠品a、これに対し弁護人は反対尋問ございますか」……そ… 証拠品なんてきいてない…
汗の滴る渡辺「これを」
何かの資料を隣から渡す陽子これにて閉廷
木槌が響く法廷を出たロビー
陽子 「『準備は人を裏切らない』いつも言ってるでしょ。」渡辺 「はい…すみません 助かりました」
上司にして美人弁護士の夏目陽子はいつものように眼鏡のふちを触りながら
少女のような黒く大きな瞳でこちらを見ている。
陽子「それじゃ私先に事務所戻ってるわ」深々と頭を下げる渡辺
「本日は助かりました ありがとうございました」スーツ姿の陽子が9センチはあるヒールで大理石を鳴らしながら去る。
女上司陽子のつんと上を向いた尻を目で追ってしまう新米弁護士渡辺。何やってんだおれ…。「準備は人を裏切らない」……か。
…3年後
車のキーをポケットに投げ入れ自宅のガレージへ急ぐ陽子。
重要書類が鞄に入っていないことに気づいたのは目的地へ近づいた時だった。陽子「いけない…机の上だわ…」
冷や汗が背筋をつたう。陽子「どうしよう…」
今日の相手は丸腰で叶う相手ではない。その時アーバンな本革ケースに納められた陽子のモバイルが鳴った。
…渡辺君だわ
今日の裁判に必要な重要な書類をPDFで添付いたしました。
陽子さんに限って自宅に忘れるとも思われませんが念のためです
お手間とらせました
渡辺
陽子はシフトをDレンジへ入れハンドルをナビの指示通りにきった。
「この前まで頼りないアソシエイト君だったのに いつのまにらしくなっちゃって…」
事務所には西日が差し込む。
陽子「今日は助かったわ…ありがとう」
渡辺「もったいないお言葉」美人女上司のヒールから黒いストッキングの太腿、腰へのラインを嘗めるように
頭を下げる。
渡辺が一番気に入っている瞬間だ。入所以来ずっと憧れていた女上司の夏目陽子。
この春結婚するというわさは本当だった。陽子「もう永遠の別れじゃないんだから…それじゃみんなで一緒に撮りましょう」
陽子の退社日。陽子を中心に同僚が肩を寄せる。
違うフロアのスタッフも顔を揃え普段は皆語らないが彼女がどれだけ職場の華であったかが容易に見て取れる。その中に溶け込んだ渡辺はそこにいた誰とも違う表情で陽子の横顔を見ていた…。
悋気に苦しむ若き雄の眼差しで…。
先輩「おい渡辺例の件まだ書類できてないのか」
渡辺「先輩の机に置いておきました。」
先輩「なんだ早く言えよ」
渡辺は陽子の旦那にして上司の「先輩」を横目でキッと見る
先輩の机は昼に食べたインスタント系の容器やゴミで景観を失っている。どうして陽子さんはこんな粗悪な人間を選んだんだろう。
この問いは永遠なのかもしれない。
だが渡辺はこの懸案を昇華できるほど人間ができていなかった。友人とふらりと行ったナイトプール。
そこは深夜ハプンニングナイトプールへ姿を変えた。
盛り場で友人とナンパした女らと面白半分でふらりと遊びに行ったが楽しかった。もし…陽子さんをあそこへ連れ出せたら
その時、光速ですらかなわぬ早さで渡辺のシナプスは
ある企てを脳裏に照らした。細い線だが行けなくもない。
陽子の亭主であり上司である「先輩」の言う通り重要案件を午前中に完了した渡辺。
何喰わぬ顔で昼食後の退屈な世間話にいそしむ。
渡辺「先輩ここどうすか。たまには陽子さん誘って遊んでみては。」
スマホをひょいと見せる渡辺
先輩「ナイトプール…?へえ…お洒落なとこだな おれはいいよ」おまえじゃねえ…陽子さんだよ。
渡辺「いえいえたまにはこういうところで夫婦の親睦深めるのも悪くないんじゃないすか。
最近どこにも連れて行ってあげていないですよね」
先輩「生意気言うな へえ…でもそうだな誘ってみるか」
渡辺「それじゃ僕が予約しておきます」数日後
先輩「なんとかプールっていつだっけ渡辺」
渡辺「えー…っと」
白々しくスマホのスケジュールを開けて答える先輩「すまん渡辺その日例の独占違反事件の担当の人と飲む事になった」
渡辺「はあ…そうですか 楽しみにしてらしたから残念ですね」上司「…渡辺すまんが俺の変わりにお前行ってくれるか」
渡辺「…はい 喜んで」
ニタリ顔で深々と頭を下げる渡辺であった…。
2.サンプル画像




