
隣り合う個室露天風呂を備えた隠れ宿ー。
ノブの説得も虚しく、花は佐野に肩を抱かれ
離れにある隣の部屋へと入っていった。ノブは一人過去を悔やむうちに、
花に支えられた蜜月の日々を思い出していた。
失いつつあるものの大きさに絶望し、
ただその時を待つことしかできないノブ。やがて衝立一枚を隔てた隣の露天風呂から
押し殺した声と淫靡な音が漏れ聞こえてくる。
罰を受け入れ苦しみながらも耐えていたノブだったが、
暴走気味に中出しを迫る佐野の声に激昂し
衝立を飛び越え殴り込む。しかし事態は思わぬ方へ転がっていき、
罰の続行は止められない。
縄や玩具などの道具を使って花の身体を弄び、
傍観するしかないノブをじわじわといたぶるように
あえて核心に迫らず遠回りをしてみせる佐野。「夫を愛するゆえの裏切り」という矛盾した行為によって
徐々に心と身体の辻褄が合わなくなる花。
開いた脚にしたたる液体はとめどなく、
「準備ができている」ことをもはや隠せない。月明かりと湯煙に包まれるなか、
忌まわしい夜は過ぎていく。



